☆☆「ジョゼと虎と魚たち」

カンバンわ!

2009年11月09日 08:15

愛する覚悟。現実と本音...




「ジョゼと虎と魚たち」(2003年、主演:妻夫木聡、池脇千鶴)





色んなところで恋愛、いや、人を愛するということに覚悟がいるってことを分からせてくれる。




ストーリー中で、ヒロインのジョゼの足が不自由だってことをことさら強調しない展開が好印象でした。




最後に主人公が「僕が逃げた。」といった一言が印象的。




主人公の人間像が非常にリアルに描かれていると感じます。




良い人間なんだけど、ダメな奴。まさに今どきの若者ってところでしょうか。




主人公は障害を持った女性と付き合って、そしてその間にだんだんと自分の覚悟があいまいなことに気付いていく。

実家に連れて行くことをためらった時に気付いたのか、それ以外なのか。

とにかく、最後に別れて家を出た後に泣き崩れる主人公の様子は「自分には覚悟がなかったんだ」と改めて気付いたのだと感じました。その時の主人公の演技は心情をよく表している。切ないくらいに。




人を愛するってことが、覚悟がいるってことを教えてくれる1作。




そして池脇千鶴が演じたヒロインのジョゼ。
障害を持ちながら、たくましく生きてる。

祖母の気持ちも分からなくもない。
またそんな環境で育ってきて、その中で自分を閉じ込めて行ってしまったことにも頷ける。




「暗い海の底。そこが今まで自分がいた世界。」セリフそのままではないけど、ジョゼが思っていたこと。
そして、光の下に連れ出してくれたのはあなただと。




たくましく生きる。強い心。でも強がっている心。




ホントに演技派の女優さんですね。恐れ入ります。




出だしは見づらいかも?と思ってしまったり、途中急展開だなと思ったりもしたけど、心に残る作品でした。





<あらすじ>
芥川賞作家・田辺聖子の同名短編小説を、「金髪の草原」の犬童一心監督が妻夫木聡と池脇千鶴主演で映画化したピュアで切ないラブ・ストーリー。ふとしたキッカケで恋に落ちたごく普通の大学生と不思議な雰囲気を持つ脚の不自由な少女、そんな2人の恋の行方を大阪を舞台にキメ細やかな心理描写と美しい映像で綴る。大学生の恒夫は、ある朝、近所で噂になっている老婆が押す乳母車と遭遇する。そして、彼が乳母車の中を覗くと、そこには包丁を持った少女がいた。脚が不自由でまったく歩けない彼女は、老婆に乳母車を押してもらい好きな散歩をしていたのだ。これがきっかけで彼女と交流を始めた恒夫は、彼女の不思議な魅力に次第に惹かれていくのだが…。

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